壊れてもいいものから、AIに作らせる
AIとの対談 バイブコーディングの見極め方
今回は、AIに聞き手になってもらい、あえて反対の立場から突っ込みを入れてもらう対談形式でお届けします。話題は、言葉で頼むだけでAIがプログラムを作る「バイブコーディング」です。
壊れてはいけないものに使うのは下策
バイブコーディングには賛否があります。越智さんはどう考えていますか?
壊れてはいけないものをバイブコーディングで作るのは下策です。でも、壊れてもいいものなら、バイブコーディングで十分だと思っています。
たとえば、会社のデータベースから販売状況を読み出してグラフにする画面。これは全然バイブコーディングでいい。多少数字の出し方がおかしくても、本物のデータは別の場所でちゃんと動いていますから。おかしければ作り直せばいい。
プログラムには、重要なものもあれば、重要じゃないものもある。そこを判断するのが、システムエンジニアの力量だと思います。
「とりあえず」のツールが、必需品になったら
でも、「とりあえず」作ったものが、いつの間にか欠かせなくなることはありませんか? 誰かが作ったExcelのマクロが、気づけば毎月の請求処理に欠かせなくなっていて、作った人はもう辞めている。そんな会社はよくあります。
どこの企業でもあることですね。止まって困るということは、そのプログラムが会社にとってもう必需品になっているということです。
そんなものを、もう一度バイブコーディングで作り直すのは、同じ過ちを繰り返すだけです。私なら、そのマクロをAIに読ませて中身を整理し、仕様を確認したうえで、正式に外注に発注します。
つまり、必需品になったら「卒業」させるわけですね。でも、必需品になりかけていることに、止まる前に誰が気づくんでしょう?
動いているものに問題を感じる人は、そういません。健康と同じで、失って初めて価値に気づくものですから(笑)。
気づきたいなら、定期的にシステムの棚卸しをするしかない。ただ、そこまでやっている会社は多くないでしょう。そこで、AIに社内のシステムの状況を見張らせて、提案させる。AIはそこそこのITリテラシーを持っていますから、何かしら気づいて言ってくると思いますよ。
なぜ「外注」なのか
中小企業にとって外注は高くつきます。仕様までAIで整理できているなら、社内でAIと一緒に作り直す手もありませんか?
社内でできないことを、社内でやろうとするのはちょっと違うと思います。「AIを使えばいけますよ」で着地できる会社は少ないでしょう。そもそも、重要なものをAIに頼るのは、まだ早すぎます。
業者任せは下策だと言ってきたのは、たとえば静的なホームページの更新のように、止まっても大きな影響が出ないものの話です。どこまでを自分たちでやり、どこから外に頼むか。その見極めがエンジニアの勘所ですし、最後は「止まったときの被害額」との相談だと思います。
「壊れる」と「漏れる」は別の話
販売状況の画面は、壊れても困らないかもしれません。でも、うっかりインターネットから誰でも見られる状態になっていたら、取引先ごとの売上が丸見えです。「壊れてもいいけど、漏れてはいけない」ものもありますよね?
重要なデータをインターネットで扱うなら、AIで作るのは避けるべきです。責任の所在が自社になりますから。
責任の所在を外に置くことも、リスク管理の一つです。お金をかけて、安全の仕組みと一緒に責任も外部に持ってもらう。もちろん、外部で情報漏えいがあっても会社に傷はつきます。それでも、自社の社員が責められることを考えれば、安いものです。
責任は外部に持ってもらい、自社はAIで漏れがないかを見張る。これが、隙のない体制ではないでしょうか。
補足すると、個人情報の扱いを外部に任せた会社には、任せた先をきちんと監督する義務が法律上あります。「任せて見張る」は、その考え方にも合っていますね。
対談を終えて
今回の話を、私なりにまとめておきます。
重さを測る物差しは3つ
止まったら困るか、間違ったら困るか、漏れたら困るか。最後は、困ったときの被害額で考えます。
軽いものは、バイブコーディングで十分
壊れても作り直せばいいものは、どんどんAIに作らせます。触ってみることで、新しい視点も生まれます。社内だけで使い、データは「読むだけ」でつなぎます。
重くなったら、卒業させる
欠かせなくなったものは、AIで中身を読み解いて仕様を整理し、きちんと外注します。気づくために、AIを見張り役にします。
外注は、責任を買うこと
ただし丸投げはしません。任せた先も、自社でAIを使って見張ります。
何を借り、何を作り込み、何をAIに作らせるか。作ること自体はAIがやってくれる時代だからこそ、この見極めが一番大事になると考えています。ちなみに、このホームページは「止まっても困らないもの」の代表として、AIと一緒に作り、更新しています。お問い合わせの受付だけは、Googleフォームに任せています。
当社の「ITの現状調査と報告書」では、御社の業務と道具を拝見し、どれを借りて、どれを作り込み、どれをAIに任せればよいかを整理します。